不動産市場と固定資産税

OECD (経済協力開発機構: Organization for Economics Cooperation and Development) の報告書によると、国際的な比較でアメリカ合衆国は固定資産税の最も高い国であることがわかりました。
政府が固定資産税を徴収する割合の世界的な平均は3.347%ですが、アメリカは11.35%です。自宅として所有する物件に関しては、2011年の参加国の徴収割合平均が1.035%だったのに対してアメリカは4.64%でした。同年のアメリカ政府における固定資産税の徴収総額は2000億ドル (約24兆8000億円:現行レート1ドル=124円) にも上ります。
この数字を見ると他国に比べてアメリカ政府は税収を固定資産税(Property Taxes) に依存していることがわかります。その割合はOECD諸国の平均が各国の国内総生産 (GDP) の24.4%を占めているのに対して、アメリカは33.7%と税収総額の⅓ を占め、各州や地方自治体の税収に占める固定資産税の割合は40%弱となっています。
2015年の第一四半期までの一年間の州や地方自治体の税収の内訳を見てみると、不動産に関わる固定資産税の比率が全体の39.5%、次いで物品などの売り上げにかかる消費税 (SalesTaxes) と個人の納税額 (Individual Income Taxes) がそれぞれ28%、そして法人税 (Corporate Tax) が4.5%です。
比率だけを見ると、アメリカへの不動産投資は魅力のないものと取られかねませんが、なぜ多くの海外投資家がアメリカに不動産を求めるのでしょうか? 既存住宅が住宅不動産取引の9割以上を占めるアメリカの市場では、全米の4%にあたる約20.9万戸が売買されており、金額にすると去年は全体の8%に当たる1040億ドル (約12兆8960億円) が取引されています。海外からの投資家が購入する平均価格は50万ドルを超え、アメリカに住む人の平均購入価格の倍近い金額で投資されるほど資産価値として注目されているのです。