来年の展望:既存住宅市場の未来は明るい

最近、フロリダ州オーランドで開催された全米リアルター協会(NAR: NNational Association of Realtors)主催のコンベンション講演で、チーフエコノミスト、Dr. ローレンス・ユン氏 (Dr. Lawrence Yun)が、 住宅市場の来年の展望について次のように述べまし
た。
「今後数年は経済がプラスを維持し、銀行の金利も現在と同じように低金利が続く傾向を考慮すると、若い世代のバイヤーが住宅マーケットを引っ張っていくのではないか。今年の既存住宅販売個数は540万戸ペースが見込まれ、昨年対比では若干の増加になりそうだ。来年以降も順調に増加を続け、2017年は550万戸、2018年は570万戸ベースになる予想だ。長期的な金利は今後、若干の増加傾向にあ
るが、米国の住宅金利を歴史的に見ると極めて低い水準を保ち、年内は3.6%、2017年は4.1%、2018年には4.5%になるだろう。短期的には、住宅価格の高騰とリーマンショックなどの影響による金融バブルの教訓で、住宅ローン審査基準が未だに緩和されていないことが、若い世代がマイホーム購入の一次取得者層になれない大きな理由になっている。また、2013年からの住宅価格の上昇が持ち家比率を63.5%に押し下げており、この比率は過去50年で最低の数値である。」
ユン氏は、これらのハードルがあるにも関わらず、「今後は若い世代が、マイホーム購入への大きな影響力を持つだろう」と予想し
ています。その理由として、米国の経済は日本やEUなどのヨーロッパ諸国の経済が停滞しているのとは反対に、雇用と給与所得の増
加によって粘りを見せていることを挙げています。この経済のバネが、鬱積している若い世代のバイヤー層を購入へと向けるらしいの
です。
「住宅の販売戸数を増やすためには、全米各地で販売可能な在庫数が少ない状況を改善することが先決」とユン氏は指摘します。
またユン氏は、「新規の着工件数を増やすためには、連邦政府の監督官庁が現在の規制を緩和することが重要であり、それに伴い各州の地元銀行の住宅ローン審査基準を緩和することが肝要」としています。「銀行改定法が進んでいない状況では、州内の地元金融機関は、連邦法の元にあり常に大きなリスクを持つ大手と同様の足枷をされている。政府は建設に従事する人員が減少していることを直視し、建設労働者へのトレーニングやビルダーへの規制や基準の緩和策を取り、コストを下げることが必要だろう」とまとめています。

<Source: REALTOR Magazine>